認知症第一人者が認知症になった NHKスペシャル感想
現在、最も一般的な認知症簡易検査
「長谷川式スケール」考案者である
長谷川和夫先生90歳の様子が1月11日に
「認知症第一人者が認知症になった」という題で、NHKスペシャルで放送されました。
※再放送あります
誰もがなりうる可能性のある認知症。
高齢になっても様々な場所で講演会をはじめとして、脳を使い、精力的に活動してきた長谷川先生でも認知症になるという現実。
認知症予防を含め、認知症分野の第一線で活躍し続けてきた先生なのです。
私も講演会で一度お話しを聞いたことがありますが、温和で優しい印象を受けました。
認知症になったことは、新聞の連載記事にも取り上げられ、知ってはいたものの、想像以上に認知症の症状が進行していました。
長谷川先生自身、自分が認知症だと理解はしています。
しかし、忘れてしまう。
日常、あらゆる場面で忘れてしまう様子と葛藤、想いが、そのまま画面を通して観ることができました。
最も印象的なのは、デイサービスでの様子。
「ここに僕の居場所はない。ここで僕は孤独だ」と言い、デイサービスで笑顔が見られないのです。
デイサービスを提唱し、患者に勧めてきた自身がデイサービスには行きたくないと言う場面。
家族からは、介護者の妻のためにもデイサービスに行ってほしいと言われます。
その後、町内会での講演活動のシーン。
流れの順番を間違え、家族から指摘され、嫌な顔をされるものの、本人は生き生きと歌い、話しています。
これこそ、認知症の人自身が教えてくれる、嘘偽りのない場面だと感じました。
我々、デイサービス職員のヒントになるようにも思えてしまうのです。
人は、認知症になっても誰かの役に立てるから幸せ。
デイサービスのサービスとはなんでしょうか?
単に受動的にサービスを受け続けることは、人が人でなくなるのです。
自分が自分であり続けるためには、自分の持っている力を人に示す(聞いてもらうこと含め)ことが必要です。
長谷川先生がデイサービスで過ごす目的は、なんなのでしょうか?
家族の介護疲れを取る、休息の時間を作ることだけではないはずです。
長谷川先生の生き方そのものを一緒に考え、活動に結びつけることがデイサービス職員としては、大切なのではないかと思うのです。
誰かの役に立てる場面、主役になれる場所や時間がわずかでもあったなら、デイサービスが自分の居場所になるのではないかと思ってしまいます。
番組の最後に「認知症になって風景はどのように見えますか?」との質問に「風景はなにも変わらない」と言っていました。
そうなんです。
変わらないのに、変わったように扱われることこそ苦しいのかもしれません。
物忘れが進行し、変わった部分だけを見て、出来ない人と思ってほしくない。
そんな気持ちかもしれません。
そして、「認知症はよくできている。心配事はあるのに、心配に気付かない。神様の救いだ」と・・・
ものすごく深い言葉。
いまなお、こうして認知症とは何かを教え続ける長谷川和夫先生には大変感謝したいです。
(再放送1月16日0:55~)
※なお、一部分のみ切り取られたのでは一生懸命取り組んでいるデイ職員には気の毒かなーとも思いましたが・・・